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2024/11/30

『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』こだわりのロケーション ・背景など、CGの「シネマティック」について制作スタッフからの特別インタビューが到着!

「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」にて「ガンダムCGの変遷と最前線」特集として、進化し続けるガンダムCGの変遷をたどり、『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』の制作の舞台裏を大特集。

今回は、主人公・ソラリをはじめとする、Unreal Engine 5で制作されたこだわりがつまった「キャラクター」のモデリングについて、プロダクションマネージャー・Nina Virginia氏、シネマティックアーティスト・長谷川 博政氏、シニアシネマティックアーティストスーパーバイザー・中原さとみ氏、シニアシネマティックアーティスト・井上拓哉氏、モデリング&シネマティックアーティスト・嶋岡薫子氏、リードシネマティックアーティスト・増田健吾氏(以上、SAFEHOUSE)による、スペシャルインタビューの様子をお届けします。




―ブロックモデル段階からUE上でシーンを構築し、段階的にポリッシュ
『復讐のレクイエム』のカット制作はシネマティックアーティストが主導し、UEを用いて行われた。「本作に参加したシネマティックアーティストは6人で、絵コンテ発注用のブロックモデル制作から、ラフプリビズ、プリビズ、レイアウト、ライティング、カメラアニメーション、レンダリングまでの工程を一貫して担当しています」と中原氏は語った。なお、本作の背景やエフェクト制作ではUE用の市販アセットも活用しており、比較的難度の低いカットでは、シネマティックアーティストが背景やエフェクトのアセットをUE上のシーンに配置していった。難度の高い背景は5人のエンバイロンメントアーティストが担当しているが、イチから背景をモデリングする機会は少なく、市販アセットを加工して、各カットの演出意図に沿った画をつくっている。宇宙世紀の設定を色濃く反映した非常食、携帯ストーブ、ペンライトなどの大量の専用プロップは、MSを含むメカも担当した8人のハードサーフェスモデラーが手分けして制作した。アニメーションに関しては、MSは手付け、キャラクターはモーションキャプチャで表現しており、表情もFACEGOODで同時収録した。「収録は当社が運営するDEFCON ZEROというモーションキャプチャスタジオで行なっており、収録時にはBrosdau監督も来日して立ち合いました。収録したデータは社外の協力会社の方々にクリーンナップしていただき、シネマティックアーティストがUE上のキャラクターにながし込み、最終調整を行いました」と増田健吾氏(リードシネマティックアーティスト)は語った。

 本作ではブロックモデル段階からUE上でシーンを構築し、そのデータを段階的にポリッシュしていったため、少人数で数多くのカットを制作できた。「更新結果をリアルタイムにプレビューできることが、UEを使う最大のメリットでした。一方で、髪の影が綺麗に描画できない、遠景情報が自動的に減らされる、一部のアセットが遅れて描画されるなど、UEならではのエラーに悩まされたという側面もありました。本作を通してエラーを回避するノウハウが溜まったので、今後のプロジェクトに活かしたいです。加えて、UEの進化にも期待しています」(中原氏)。


=第5話の上面図と、山岳地帯のブロックモデル=


A:第5話の全シーンと、ソラリたちの動線が描かれた上面図。この話数では、装甲車に乗ったソラリたちが、オルト川に面した連邦軍基地を目指してルーマニアの夜の山岳地帯を走行している最中に、2機のグフカスタムに襲撃される。このような上面図を描く際には、事前に笠岡氏がGoogle Mapで現地をロケハンし、イメージを膨らませた

B 、C:上面図を基にUE上で制作された、山岳地帯のブロックモデル。第5話の物語が始まるスタート地点から、グフカスタムの襲撃地点、連邦軍基地の手前にあるテンサイ畑までの広大な領域が、ひとつのシーン内につくられた。「UEの場合は原点からどれだけ離れても問題がないので、本格的な背景制作を始めるまでは、第5話Aパートの全領域をひとつながりのデータにしていました」(増田氏)。絵コンテ発注時には、脚本に加え、上面図やブロックモデルを参考資料として提供している


D 、E:新井氏による絵コンテ


=第5話 グフカスタム襲撃シーンのシネマティック= 

A、B :ラフコンテの納品後、改めてUE上で動線と地形をチェックし、破綻がある場合は再調整を行う 


C ~E:ラフプリビズを制作し、おおまかなレイアウト、カメラワーク、ライティングなどを設定する。この段階ではキャラクターの代わりにUEのマネキンを配置しており、そのままでは表情がわからなかったため、絵コンテの顔の部分をトリミングして貼り付けることにした

F H :プリビズ段階でエンバイロンメントアーティストが背景を制作し、演出意図をふまえてレイアウトやライティングを整える

I K:完成映像


=第3話 整備工場シーンの背景制作=

A:メカニックのアルフィー・ザイドスが管理する、リサイクル・センター内の整備工場でソラリたちが休息するカットのプリビズ

B: A のザクII頭部の拡大。「当初は物々しい空間だったのですが、アルフィーのプライベートなスペースであることを表現したいから、ザクIIの頭に付箋を貼ってみてはどうかと笠岡淳平さん(ディレクター・オブ・フォトグラフィ)が提案してくださいました。やってみたらザクが良い感じに可愛くなって(笑)、アルフィーがどんな性格なのかも上手く表現できたと思います」(中原氏)

C:完成映像。悪目立ちするようなら付箋を剥がそうと思っていたが、本作のフォトリアルな世界観と上手くマッチして、目立ちすぎず、沈みすぎもしなかったので、残すことにした。本作には、このような遊び心や工夫も数多く盛り込まれている


全容は是非、「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」を是非チェックしてください!
https://cgworld.jp/magazine/cgw316.html